今日のことば 《 良い話し手になるゆいつの法則――クリストファー・モーレー 》

良い話し手になるゆいつの法則がある
それは聞くことを身につけること
( クリストファー・モーレー )
There is only one rule for being a good talker - learn to listen.
( Christopher Morley )


◆相手にしゃべらせる

『人を動かす』https://tinyurl.com/y957rtwu
( D・カーネギー創元社、p213 )

アメリカ屈指の自動車会社が、内装用の織物類を一年分購入しようとしていた。3社の大メーカーが、見本を提出した。自動車会社の重役たちはその見本を吟味したのち、メーカーにそれぞれ通知を出し、最終的な説明を聞いたうえで契約するから、指定の日にたずねてくるようにといってやった。

そのうちのあるメーカーの代表者R氏も、重い喉頭炎をおしてやってきた。以下はR氏の話である。

「私の説明する番がまわってきたが、声を出そうにも出なかった。かすれ声すら出ない始末だ。一室に案内されると、そこには社長をはじめ、各部門の責任者がずらりと並んでいる。わたしは立ちあがってしゃべろうとしたが、喉がキーキーと鳴るだけだった。

そこで、わたしは一枚の紙に『喉をいためて声が出ません』と書いて差し出した。

それを見た社長が『では、君にかわってわたしがしゃべってあげよう』といい出した。そして、わたしの見本を広げると、その長所をほめだした。すると、それにつれて活発な意見が各責任者から出た。社長はわたしの代弁をしていたものだから、いきおいわたしの味方になってしまった。わたしはただ、ほほえんだり、うなずいたり、身ぶりをして見せるだけでよかった。

この風変わりな会話の結果、わたしは50余万ヤールの布地の注文を受けた。金額にして160万ドル。わたしにとっては、生まれてはじめての取引だった。

そのとき、もしわたしが声をつぶしていなかったら、とてもその注文はとれなかったにちがいない。わたしはそのときまで、商売のやり方について、とんでもないまちがった考えを持っていたのである。自分でしゃべるよりも相手にしゃべらせたほうが利益が大きい場合があることを、そのときまで知らなかったのだ」。